「ほかにも色々あるよ。パンフレットもらってきた」

 私と夏希に一部ずつパンフレットを渡してくれる。
 わずかな時間で、本当によくここまでいろいろできたな、と感心してしまう。

「仮装カフェがある。やっぱり、高校の文化祭といえばカフェだよね」

 夏希は串をくわえたまま、パンフレットを開いた。
 危ないと思って、私はその串を取り、空になった紙コップに串を戻す。

「えー。来ていきなり休むの?」

 夏希が興味持ったものに、沙奈ちゃんは即座に文句を言った。

「別に今すぐ行きたいなんて言ってないじゃん。沙奈は? どこ行きたいの?」
「まず射的でしょ? それから、参加自由のカラオケ大会! あとは、バンド演奏も外せないね」

 楽しむ気満々だ。
 なんだか、小さな子供を持つ母親のような気分になってくる。

「ひなたはどうする?」
「私は……沙奈ちゃんみたいにいろいろ見て回るより、ゆっくり楽しみたい……かな」

 本当は沙奈ちゃんが行きたいところでいい、と言いたかったけど、さすがに沙奈ちゃんほどテンションを上げることが出来なかった。
 そんな人が一人でもいたら、つまらなくなると思った。

「……ひなた一人でも大丈夫?」

 そんな確認をされると思っていなくて、返事に困った。

「ひなた、別行動なの?」