そして私たちは、ショッピングモールを出て、近くにある公園に来た。
冬花ちゃんがブランコに乗り、背中を沙奈ちゃんが押す。
それを見守るように私、夏希、近江君の順で二つ並んだベンチに座る。
「……沙奈にはああ言ったけど、嵐士君ってひなたのことが好きなんだと思ってた」
夏希はどこか遠い目をしている。
横目で近江君を見ると、近江君は苦笑していた。
「初めて会ったとき、なんとなくそんな気がしたの。躊躇いなくひなたに自分のアイス分けてたし」
「……だからあのとき、ひなたちゃんは渡さないって言ってきたんだ?」
初対面のとき言っていたのは冗談だと思っていたけど、夏希は本気で言っていたらしい。
夏希は近江君に真剣な眼差しを向ける。
「まあね。でも、気持ちを押し殺しても、仕方ないよ。いつか、あのバカみたいに暴走する。そうやって暴走して、ひなたを困らせるようなことしたら、嵐士君でも容赦しないから」
夏希が近江君のほうを向いたせいで、どんな表情をしていたのかわからなかった。
だけど、近江君が青ざめていくから、余程恐ろしい顔をしていたんだろうと思った。
近江君は咳ばらいを一つする。
「バカっていうのは矢野君のこと?」
「それ以外誰がいるって言うの。あいつ、自分だけしか見えないようにしてやるー、とか言ってたくせに、別れたって。本当、バカ」
冬花ちゃんがブランコに乗り、背中を沙奈ちゃんが押す。
それを見守るように私、夏希、近江君の順で二つ並んだベンチに座る。
「……沙奈にはああ言ったけど、嵐士君ってひなたのことが好きなんだと思ってた」
夏希はどこか遠い目をしている。
横目で近江君を見ると、近江君は苦笑していた。
「初めて会ったとき、なんとなくそんな気がしたの。躊躇いなくひなたに自分のアイス分けてたし」
「……だからあのとき、ひなたちゃんは渡さないって言ってきたんだ?」
初対面のとき言っていたのは冗談だと思っていたけど、夏希は本気で言っていたらしい。
夏希は近江君に真剣な眼差しを向ける。
「まあね。でも、気持ちを押し殺しても、仕方ないよ。いつか、あのバカみたいに暴走する。そうやって暴走して、ひなたを困らせるようなことしたら、嵐士君でも容赦しないから」
夏希が近江君のほうを向いたせいで、どんな表情をしていたのかわからなかった。
だけど、近江君が青ざめていくから、余程恐ろしい顔をしていたんだろうと思った。
近江君は咳ばらいを一つする。
「バカっていうのは矢野君のこと?」
「それ以外誰がいるって言うの。あいつ、自分だけしか見えないようにしてやるー、とか言ってたくせに、別れたって。本当、バカ」