……そういえば。

「近江君は何を引いたの?」
「はちまき交換してる人だよ」

 え、待って、なんで知って……!?

「一週間前に彼と交換してるところ、見ちゃって。僕が知ってるはちまき交換してる人は君しかいないんだ」

 たしかに、どっちも私を選びたくなるようなお題だ。

 私が迷っている間に、一位が決まったという放送が聞こえてきた。

「えっと、同時ゴールとか、ダメなのかな?」
「俺と近江、ひなたでゴールするってこと?」
「そしたら万事解決……できない?」

 そうしたら沙奈ちゃんに迷惑もかからないと思うし……

 すると、聖は優しく微笑んだ。

「わかった、そうしよう」

 私はテントを出て、聖とゴールに向かう。

「……近江君?」

 だけど、近江君は立ち止まって動こうとしない。

 やっぱり同時ゴールは嫌……なのかな?

「ごめん、聖。負けてくれない?」
「同じ組なのにそれ言うか」
「だって……困ってる人は見逃せないし」

 沙奈ちゃんには悪いけど……聖は沙奈ちゃんとゴールすることだってできるから。

 それで言ってしまえば、近江君だって探せば終わるだろうけど、近江君が呼びかけたら……うん、大変なことになりそう。