沙奈ちゃんと夏希が並び、私一人が向かい側に座った。
 沙奈ちゃんはサンドウィッチを食べ始める。

「それで? 天形とどうなったって?」

 そんな沙奈ちゃんを横目に、夏希が怒っているかのような表情をして、聞いてきた。

「……友達」

 そう答えると、大きなため息が返ってきた。
 予想通りの反応だけど、私はストローを咥えて目をそらす。

「私が追追試受けてる間にそんなことになってたとはねー」

 沙奈ちゃんはサンドウィッチを飲み物で流し込みながら言った。

 ……追追試?

「それって、英単語の……?」
「うん、そう。聞いてよ、松木の奴! 毎回内容変えてくるの! どんだけ答え覚えても無意味! 合格出来るわけないじゃん!?」

 当たり前のことを、精一杯主張されてしまった。
 同意しかねる。

「沙奈って、実は……ってか、やっぱりバカでしょ」
「ギリギリ合格できた組だからね」

 私はその会話を苦笑しながら聞く。

「って、沙奈のことは今いいの。ひなた。天形と友達ってどういうつもり?」

 夏希はどこか怒っているようだった。

 まあ、無理ないか。
 夏希は私と聖をくっつけようとしてたんだし。

「……天形に忘れてほしい、二度と連絡しないって言われたの。嫌だって言ったけど、私には告白する勇気がなかった。だから、無関係になりたくなくて、友達に……」