聖からの返信が止まった。
私は昇降口の影から校門の様子を伺う。


「天形がいない……て、なんで聖戻ってきてんの……!?」


私は慌てて隠れ、息を潜める。


「……何してんの」


遅かったみたいで、普通に聖に見つかった。
私は諦めて聖の前に出る。


「……天形が帰るの、待ってた」
「なんでそんなに会いたくないんだよ。俺に元の関係に戻ろうって言われたときにお礼を言ったのは、天形とよりを戻したいからじゃねーの?」


平気な顔をしてそんなことを言うから、今聖がどんな気持ちなのかくみ取ることもできない。


「あ、俺に気を使ってるとか言ったら、殴るから」
「そんな物騒な」


苦笑して誤魔化す。


「それで?なんで会いたくないわけ?」


聖は呆れたような表情で聞かれた。


「……私が天形を好き、でも……天形は違う……天形には、別に好きな人がいる。聖には悪いけど、私……怖くて、行動できない……」


声が震える。
思っている以上に憶病な人間だったらしい。
といっても、前も自分から行動できたためしはないけど。


俯いていたら、聖が私の頭に手を置いた。


「それは怖いよなあ」


聖の優しい声に、視界が滲む。


「天形が私に話があるって、絶対、いい話じゃ、ない……会いたく、ないよ……」