放課後、俺は逃げるように校門に向かった。


今朝のことでひなたに聞いても仕方ないと思った奴らが、ずっと俺に質問をしてきたからだ。
覚悟はしていたが、予想以上にしつこかった。


校舎を出ると、陰で噂をされ注目はされたが、直接話しかけられることはなかった。
だが、それとは別のざわつく声があった。


まっすぐに進んでいるはずなのに、校門を出るときにはほとんどが左側に避けているように見えた。


俺は不思議に思いながら近付く。


「え……天形?」


そこには壁に体を預け、両耳にイヤフォンをつけて音楽を聴く天形がいた。
見るからに不良である天形は、生徒に避けられるのも無理なかった。


実際俺も無視をして帰ろうと思ったが、天形がここに来た理由をなんとなく察してしまった。
このままだとすれ違いが生じてしまう。


だが、そこまで俺がでしゃばってもいいものだろうか。
俺は完全に手を引いたのに。
余計なお世話にならないだろうか。


「先生、こっちです!」


進行の邪魔になるにも関わらず立ち止まって考えていたら、後ろからそんな声が聞こえて来た。


「校門に、不良がいるんです!」


その言葉に、思わず笑ってしまった。


まあ、普通に考えてそうなるよな。