ひなたたちの後を追おうとしたら、誰かに肩を掴まれた。
俺はまるでロボットのように首を動かす。


そこには恐ろしく冷たい顔をした近江がいる。


「どういうことか説明してもらおうか?なんで堂々と幼なじみ宣言してるの」


こうなることは予想していた。
だが、上手く言葉が出てこない。


「昨日。話してきたんだよね?負けたの?あのクズに?」
「さすがに言い過ぎ」


キャラチェンジでもしたのかと思うくらい、近江の言葉には棘があった。
俺は戸惑いながら、校舎に向かう。


「……まずは俺たちが天形を認めなきゃ何も変わらないんだ。クズだの不良だのって思ってるのが、いけない」


隣を歩く近江は、まだ納得してくれない。


「僕たちが彼をどう見ようが、関係ないじゃん。彼はひなたちゃんを傷つけてる」
「そうだけど……天形は、自分が不良でひなたが優等生ってのに引っかかってんの」


昇降口に着くと、それぞれの下駄箱に行き、靴を履き替える。


廊下で近江と合流し、ゆっくり進む。


「俺さ、心のどこかでアイツを見下してたんだと思う。なんで天形がひなたに愛情を向けられてんの?天形ってそんな人間?って」
「……不良だから?」


近江の質問に、少し考える。