「顧客対応ですか?」
「メールのやりとりです。お客様から品物の注文や問い合わせメールが届きます。風師さんは商品の在庫確認をして、お支払い方法や発送のリプライを書いて下さい」
「メールを書けば良いんですね? それだけなら私にも務まりそうです」
「中には苦情や冷やかしもありますからご注意を」
「ひぇっ、脅かさないで下さいよぉ」
「ははっ。大半は普通の注文だけですよ。あとはアフター・サービスの案内ですね」
「アフター・サービス?」
「当店は六ヶ月の無料保証期間を設けていますが、他にもアフター・サービスとして定期メンテナンスを実施しています。時計の点検をサービスしますと告知するのですよ」
「点検は誰がなさるんですか?」
「無論、僕です。修理技能士ですから」
店長が有資格者なのは知っていたが、アフター・サービスまで手掛けているのは意外だった。細かな気配りが行き届ている。
そうした誠意がリピーターを呼び、店を維持する原動力に繋がるのだ。心遣いは決して無駄にならない。
(さっきの男性も常連客ですし、店長がいかにお客様の信頼を得ているかが判ります!)