それで俺が納得すると思っているのか、先輩は。


「湯村が納得できないのはわかる。でも、だからって捜査しろ、とは言えない」
「なんでですか」
「覆せないからだよ。自殺の原因を探るために再捜査、なんて上が許してくれるわけない」


駐車場に車を停めると、俺は先輩をまっすぐに見る。


「上なんて関係ありません。俺が捜査したいから捜査します」


すると、先輩は俺のネクタイを引っ張った。


「警察は組織だ。上の指示がすべて。下はそれに従うしかない」
「それで何が守れるんですか」
「規律の中で、最大限にできることをやるんだ」


ネクタイを離した先輩は、車を降りた。
一人残された俺は、冷静に考える。


自殺の原因が知りたい。
それは事件解決に繋がるようで、ただの自己満のようにとることができる。


俺が原因を知りたいのは、あまりに自殺が多すぎるからだ。
全国的にどうやって自殺を促しているのか、皆目見当もつかない。


自殺をしなければ、と思わせるような何かが、きっとある。


それを、ネットで見つけることができるだろうか。
できなかったら……


「いや、待てよ?ネットは全国どころか世界を繋ぐもの……ネットを利用したのか?」


これは……鍵を見つけられるかもしれない。