「……先輩」


運転中、助手席に座る先輩を呼んだ。


「なんだ」
「自殺した人たちに共通点とかないんですかね」
「……諦めが悪い奴だな」


そう言われても仕方ないのはわかってる。
だが、はいそうですかと諦められるほど、俺は潔のいい人間ではなかった。


「規模は全国だ。ここ数ヶ月で考えても、二十人はいる。その全員を調べるのは不可能だ」
「でも、協力を」
「……本気で言ってるのか?」


横目で見た先輩は、俺を睨んでいた。
さすがに、今回の言葉は不適切だった。


自殺だと判断された事件について、誰が協力してくれるのだろうか。


「……すみません」


謝るしかできない自分が不甲斐ない。
間違えたから、謝ればいい。
正直、それは間違っていると思う。


かといって、他にどうしろと言われてその打開策が出てくるわけではないが。


この場合、こうならないように行動すべきだろう。


「……お前はどうしてそう、自殺事件にこだわるんだ」


俺がまだ諦めていないと伝わったのか、先輩が聞いてきた。


「こだわってるわけでは……ただなにか理由があって自殺しているのであれば、その理由を知りたいんです。自殺した人たちがなんでそう思ったのか」