俺たち警察が駆けつけたときには、湯村は命を絶っていた。
その隣には見覚えのない女子高生の遺体があった。


「まさか湯村刑事が……」


一人の刑事が呟いた。
俺はそいつの胸倉を掴んだ。


「あいつは誰よりも正義感にあふれた奴だ!人の命を奪うわけがない!」
「じゃ、じゃあこの状況、どう説明するんですか」


その質問に答えることができなくて、俺は乱暴に手を離した。


湯村。
俺が来るまでに何があった。


どうしてお前が命を絶った。


隣にいる女子高生が、お前の言っていた死神なんだろ?
あのおかしな考えを持った奴だろ?


そいつと話して、お前も死にたくなったのか?


聞きたいことは山ほどある。
それなのに、もう聞くことはできない。
真相は闇の中だ。


「……クソ!」


どれだけ後悔したってもう遅い。
そんなことはわかっている。


わかっているんだ。


「あの……」


俺が大声を出したせいか、鑑識が怯えながら声をかけてきた。


「これ、湯村さんが録音していたみたいで……」


彼が持ってきたのは、見慣れた湯村のボイスレコーダーだった。


「俺が聞いてもいいのか?」
「えっと、そのように指示されたので」