しかしそのぶっ飛んだ結論には頷けない。


「若者を減らすことは違うとわかってます。でも、高齢者を殺すことだってできない。……だから、未来ある若者に訴えるしか出来なかった」


こちらを向いた彼女は、儚げな瞳をしていた。
気を抜けば吸い込まれてしまいそうだ。


彼女なりに世の中を変えようと思って、あのブログを書いたのだろう。


「村田さんは……この世を変えたいと命を絶った人たちを可哀想だと思いますか?私が殺したと、思いますか?」


まるで助けを求められているような気分だった。
俺は答えに迷う。


潤んだ瞳に、選択を間違えそうだ。


「思わない。……君がその解決法を思うのは、自由だ。それに関しては、俺が口出しできることではない。だが、苦しいから、誰かに聞いて欲しいからとブログに書き、発信してしまったことはよくない」


すると、彼女から表情が消えた。
背筋が凍る。


「もっと単純な人だと思ったのに」


さっきまでの彼女は演技だったようだ。
上手いこと騙されるところだった。


「じゃあどうしろって?この変わらない世界の中で、黙って生きろって?そんなこと出来ない。正しいと思う答えにたどり着いた。だから、行動した!私は間違ってない!」