「面白いくらい緊張してますね。うーん……なにから話そうかな」


俺は相手は男だと思っていたのだ。
ただでさえ狂っている奴に会うというだけで緊張していたのに、相手が女。
しかも、年下となると緊張しないわけがない。


免疫がないのだから。


「まあいいや。村田さんにほとんど伝わってないと思うので、初めから話しますね」


彼女はまた川面に視線を移した。
川面に反射した光に照らされる彼女は、不覚にも見とれてしまうくらい、美しい。


「この国の問題に、少子高齢化があります。そして地球温暖化。これらが問題視される、本当の理由を考えてみたんです」


彼女の真っ直ぐな視線に、真剣な気持ちが伝わってくる。


「どちらも、人間がいるから悪いのではないか、と思いました。子供が少ないのは教育の環境が整っていないことと、男女ともに働かなければならない時代が原因。高齢化は医療の発達」


後者については喜ばしいことのように思うが、彼女にとってはそうではないのだろう。


「地球温暖化だって同じです。人間が地球を壊してる。技術の発達が、温暖化を進めてます」


それに関しては同意する。


「どちらも解決するなら、この世界から人間がいなくなればいい」