『僕がそう呼ばれていることを知っているんですね』


俺がブログ主にしたように、ブログ主が痛いところを突いてきた。
いつも自分がしていることをされると、なんとも言えない気持ちになる。


『ネットの噂で知りました。』


嘘を返す。
実際に顔を見られていないのだから、これが嘘だということは伝わらないはずだ。


『噂ですか。なるほど、確かにあなたとは直接話した方がよさそうです』


それはただの文章だった。
それなのに、無性に背筋が凍った。


相手に見透かされているような気分だ。


『会ってくれるのですか』
『いいえ。配信アプリを使って話しましょう』


その返信にはURLがつけられていた。
俺はそれをクリックする。


ブログ主の配信ページに入ると、早速配信が始まった。


「聞こえますか?」


機械越しに聞く声の主は、俺より若いように感じた。


「もしかしてコメント出来ないのかな。なんでもいいんで、文字打ってもらえると助かります」


そう言われて、名前と挨拶の言葉を打って送信ボタンをクリックしてみる。


「お、来た来た。村田さん、よろしくお願いします」


当然、偽名だ。
本名を教えるわけがない。
さっきまでのやり取りは、この名前でやっていた。