その後も通り沿いにはお洒落で美味しそうなレストランや、可愛い雑貨屋さんが続き、私は時々中を覗いたりしながらのんびりと歩いた。
プラチナ通りは、終点で目黒通りにぶつかる。白金台駅はすぐそこで、目黒通りを東に向かえば白金高輪駅、西に向かえば目黒駅だ。どちらも、歩いても15分位で着く距離にある。
目黒駅方面は首都高速道路越しに駅前のビルとタワーマンションが見え、白金高輪駅方面は途中から下り坂になっているせいで遠くまで確認できない。
どちらに向かうか少し迷い、私はスマホを取り出して地図を確認した。
地図上で今いる場所のすぐ近くに『国立科学博物館附属自然教育園』『東京都庭園美術館』という文字をみつけ、私はそこに向かうことにした。
プラチナ通りから目黒通りを西に曲がり、歩くこと5分。目的地にはすぐに辿り着いた。地図上では同じ緑色の上に2つの文字が並んでいたので勘違いしていたが、『国立科学博物館附属自然教育園』と『東京都庭園美術館』は全く別の施設だった。2つの施設が、隣接して存在しているのだ。
「どっちにしようかなぁ」
数十メートル離れた2つの施設の入り口を往復すること数回、どちらに入るか散々悩み、結局私が選んだのは『東京都庭園美術館』だ。受付で見学したいと告げると、眼鏡をかけた女性が代金と引き換えにチケットくれた。
入ってみると、まず目に入ったのはアスファルトの大きな道。それを更に進むと、白亜の西洋風建築物があった。この中では特別展示をしているようだが、料金が別なので私はチケットを買わなかった。
白亜の建物を右手に見つつ更に道を進むと、そこには大きな彫刻などのアート作品が並んぶ芝生の広場が広がっていた。庭園美術館と言うくらいなので、庭園の中も美術館になっているようだ。
案内板を確認すると、庭園美術館の中は西洋庭園と和風庭園の2つの区画に別れていた。
それぞれがテーマに合わせて趣向を凝らしており、例えば和風庭園では茶室が在ったり、小さな橋があったり。途中で立ち止まり、広い池を眺めると、紅葉の枝葉が池にせり出す具合が、まるで1枚の絵画のように美しく見えた。
たまたまなのか、そこからは周囲のビルも見えず、まるで大自然の中に設えられた美しい庭園にいるかのような錯覚を覚える。
日本庭園の池沿いを壮年の夫婦が仲良く散歩しているのをしばらく眺めながら、私は耳を澄ました。いつもの車の音ではなく、鳥の囀りが心地よく響く。
以前は、私の中で都心はコンクリートジャングルの印象しかなかった。けれど、実際に住んでみると思っていた以上に緑が美しい場所は多い。
一通り見学を終えた私は、途中にあったスーパーマーケットに寄って夕食のおかずを買った。そして、またプラチナ通りをぷらぷらと歩き、自宅へと向かう。
やっぱり自炊すると1人暮らしには量が多すぎるけど、今日はアレンジしやすいようにミートソースを作った。ミートグラタンにミートスパゲッティ、炒め物に混ぜたり、サンドウィッチにしたり。しばらくは色々なアレンジ料理が楽しめそうだ。
夕食後は、またパソコンに向かって放りっぱなしの宅建の勉強をした。気分転換したお陰か、今度は飽きずに目標のところまで勉強を進める事が出来た。
思った以上に満足度の高いお散歩だったから、またあっちには行ってみたい。その時は、今日行けなかった自然教育園に行ってみようと思った。