頭の中ではちゃんと人間だと分かっていながらも、反射的に心の中でそう叫んでいた。

 思わず口からその叫びが漏れてしまいそうなところを、ごくりと飲み込む。

 それもそのはず、老婆は幾つもの皺の入った顔に、青い目、金髪、そして子どもからみれば「薄汚い」としか表現できない枯れ葉色のカーディガンを羽織っていた。

 さらには悪い足を支えるための杖まで手に持っているのだから、エリカが「魔女」と表現してしまうのも無理はない。

「あんた、何しに来たんだい?」

 老婆はエリカを、不審者をみるような目つきでじろじろと眺めまわす。

 エリカは不快でしょうがなかった。

 なぜなら、エリカの知る「お店」とは、必ず客を歓迎するものであって、決してやってきた人間を不審者扱いしないものであったから。

 この老婆ときたら「いらっしゃい」の一言もない。