お店の中は、まさしくワンダーランドとでもいうべきだった。

 思わずエリカは「時計を持った白ウサギさんが出てくるんじゃないかしら」と呟いていたほどだ。

 一歩店内に足を踏み入れると、お香のような匂いがぷんと鼻をついた。

 内装はすべてワインレッドで統一されていた。

 天井も、壁も。

 そしてその天井からは気味の悪いタペストリーがぶら下げられていて、黄ばんだ色の値札がくっついていた。

 一万円と薄くなった黒字で書かれている。

 一体なんの柄だろう、とじっとタペストリーを観察してみると、それは人間の頭がい骨を腹の下に埋める虎の絵だった。

 いささか気分の悪さを覚えて、エリカは目を背けた。