(もしかして、あれはダイナなの?)
 エリカはそう訊こうと思ったが、またアリスが答えてくれないような気がして辞めた。

(きっと、この白猫に嫉妬したのね、ダイナは)
 アリスの出してくれた紅茶を口に含みながら、店内を改めて見回す。
 あれだけ気持ち悪かった商品の数々も、なんだか愛らしく見えるのだった。特に、フランス人形の微笑みは、自分そっくりだ。

(本当に、おもしろいお店ね)

 エリカはクスリと笑った。
「何か言ったかい?」
 アリスが不機嫌丸出しの顔で振り向く。エリカはかしこまって答えた。

「ええ。素敵な冒険だったわって言ったの」