意を決して小学校を離れたものの、そこから右へ行けばいいのか、左へ行けばいいのか、やっぱりエリカには見当もつかないことだった。
 一歩一歩、庭の真っ青な芝を踏みしめていくうちに、引き返した方がいいんじゃないか、という思いがエリカの中でせり上がってきた。
(今ならまだ引き返せるわ)
 そう心の中で呟いて、エリカはくるっと振り返った。

(……あら?)

 奇妙なことに、さっきまで確かにあったはずの青空教室が、すっかり消えてしまっているではないか!

 白鳥先生も、あの鳥の小学生たちも、それから机も黒板も、姿をくらましてしまった。あんなにうるさかった庭が、しんと静まり返っていた。
 見えなくなるくらい歩いたのかしら、と思ってうんと目を凝らすが、それでもやはり見えない。鳥たちの声も聞こえてこない。
(みんな、家に帰っちゃったのかしら)
 普段なら絶対にこんなことはないのだが、いい加減この不可思議なことばかり起こる状況に慣れてきたエリカは、深く疑うこともなく、勝手にそう納得するのだった。