「だがしかし、本当にそれを望む者には自ずと答えが与えられる。必ずね」

 ソレヲノゾムモノ?
 オノズト?

 エリカは首をかしげた。さっぱり意味がわからない。

 白鳥先生の次の言葉を期待してじっと目を見つめるが、それ以上何も言ってくれはしない。おそらく、これも"ルール"なのだろう。
「では、行ってくるんだ、アリス。みんなが君の活躍に期待している」
 白鳥先生がこう言うと、鳥の子供たちはお別れの歌を歌いだした。
 白鳥先生はエリカの耳元で、「この庭では、旅立つ者を見送る時にはこの歌を歌う習慣があるんだよ」とささやいた。
 エリカの全く知らないメロディーの知らない言語の歌で、何と歌われているのかさっぱり分からなかったけれど、ああ、これでお別れなのだな、という実感が伴った。
 私はもう旅立つんだ、と。

 子供たちが歌い終えると、エリカは拍手しようとして気付いた。暴れ猫に頭蓋骨を渡すまでは、手放してはいけないというルールがあったではないか。仕方なしに、静かに一礼して、エリカは庭の小学校を後にした。