雑貨屋さんを見つけるのには、さして苦労は必要なかった。

 周囲の大人の言うことを聞かないやんちゃ坊主たちがその場所を熟知していた上に、噂の雑貨屋は周りの画一的な建物とは一風変わったオーラを醸し出していたからだ。

「お菓子の家みたいだわ」

 雑貨屋を目の前にして、エリカは率直な感想を述べた。

 三角屋根に、煉瓦の外壁を這う蔦、そして「Wonder Garden」と書かれたクリーム色の看板。

 そのどれもが、エリカの想像を掻き立てた。

「じゃあ、入ってみようかしら」

 エリカは普段、「~だわ」「~かしら」などという物言いをする子ではなかったけれど、この時ばかりは本当に自分をフェアリー・テイルのヒロインだと思い込んでしまっていたようだ。