「わかりました」
 エリカが返事すると、子どもたちは立ちあがり、拍手しだした。パラ、パラ、パラ、と不揃いな拍手ではあるが、不思議と温かみは伝わってくるものだった。「君だけが頼りだ」と口ぐちにする。その言葉にも嘘はなさそうだった。
(ここまで来たら、もう行くしかないわ)
 エリカは腹を括った。
「暴れ猫のところまではどうやって行けばいいの?」
 エリカが尋ねると、残念そうに白鳥先生は首を振った。
「僕たち鳥からそれを教えるわけにはいけないんだ。ルールというものがこの庭にはあってね」
 どう行けばいいのかわからないなんて困ったものだ。初めてここに来たエリカには、右も左もわからない場所なのだ。
 白鳥先生を責めたい気持ちではあったが、ルールと言われてしまうと、これ以上聞いてはいけないのだとエリカは思ってしまうのだった。