「それが、アリスだ。僕たちはアリスが来たらある仕事を頼まなければならなかったんだ。でも、アリスという女の子はこれまで現れなかった。そうして待ち続けて、今日、君がやってきた。君こそが、僕たちが待っていた女の子なんだ」
 エリカは目を見開いた。
 みんな、私を待っていたって言うの?
 だけど、腑に落ちない。アリスという女の子を待っているのならば、エリカではお役目は果たせないはずだ。
「確かに、私の名前の文字を入れ替えたらアリスになるけど、本当の名前はエリカよ。アリスじゃないわ」
 エリカはたっぷり十秒ほど考えてから反論した。しかし白鳥先生は引き下がらない。
「いいや。君のエリカという名前は、仮の名なんだ。敵から本当の名前を隠すために、文字を入れ替えられてしまった。それがエリカという名前なんだ」