「その通りです、鶏君。フランス人形君、恥じることはないさ――そして、ここからが問題なのだよ、わかるかい、ホオジロ君?」

 急に指名されて驚いたのか、ホオジロが裏返った鳴き声を発した。

 そして、答えを求めるように、隣の席の学友たちにこそこそと耳打ちを始めた。

「おやおや。先ほど『さすがだ』と君は何度も繰り返したじゃあないですか」

 知ったかぶりをしていたのね、とエリカはホオジロを白い目で眺めた。

(みんながみんな、あのカクゲンの意味を知っているわけじゃあなさそうだわ)

 そう思っていると、先ほど自信満々に答えた鶏がエリカを振り返り、下手くそなウインクを投げた。

(嫌な子! 自分だけが分かっているみたいな顔しちゃって!)