エリカも例に漏れず、そんな少女の一人だった。

 童話やファンタジーの本を小学校の図書館から借りるたびに、吸い込まれるように物語の世界に入り浸る。

 そんなわけで、十歳のエリカの頭の中には、彼女だけの空想の世界みたいなものがすっかり出来上がっていた。

 それは物語の世界観を引き継いだ要素と、彼女がそこから派生させた想像とで成り立っていた。

 例えば、彼女の頭の中にある『不思議の国のアリス』の主人公は、少女・アリスではなくてエリカ自身だったりする。

 エリカはそんな子どもだったものだから、校区のはずれに住む変てこばあさんの噂を聞いたとき、それはそれはわくわくした。

 エリカは思った。

「おばあさんに会ってみたい!」と。