こうして自分を叱ったりもしたけれど、何の成果も出ない。

 薔薇になったエリカが現在いるのは、子供部屋と思しき狭い部屋だった。

 エリカがぞっとするほど、部屋の中はピンクで統一されていた。天井も、壁紙も、カーペットも、カーテンも、すべてがピンク。

 おもちゃ箱には人形や車、ブロックなどエリカも子供のころ親しんだ類のおもちゃがたくさん入れられている。

 だが、その部屋の主は現在どこかへ行ってしまっているようで、室内は誰もおらず、ひっそりと静まり返っている――と思っていたその時。

「ねえ、君」

 急に横から声を掛けられたものだから、エリカは腰が抜けそうになった――もっとも、今は薔薇の体だから、腰が何処にあるのかなんて見当もつかないのだが。

 エリカに声をかけてきたのは、鳥かごに入れられたカナリアだった。