高笑いしだす老婆に強い嫌悪を覚え、「何がそんなに可笑しいの!」とエリカは顔を真っ赤にして抗議した。

 他人の名前を聞いて笑いだすなんて、そんな失礼なことがあるだろうか。

「エリカ、あんた、自分の名前をアルファベットにしたことも――そうか、まだ小学生なんだねえ」

 子ども扱いされたことへの腹立たしさと、老婆の発言の意味がわからないのとで、エリカは戸惑った。

(自分の名前をアルファベットに? アルファベットって英語のことよね?)

 エリカが訳も分からず黙っていると、老婆は口の端を上げて、

「エリカ、気に入ったよ。箱のふたを開けてごらん」

 初めてみる彼女の微笑に背中を押され、エリカはどきどきしながらふたを丁寧に開けた。

 中に入っていたのはお菓子などではなく、

「箱庭だわ!」