エリカは老婆が素直に「いいよ」と言ってくれることを望んだが、老婆はふんと鼻を鳴らし、

「あんた、それが何か分かっていて欲しいと言っているのかい?」

老婆は近寄り、箱をとんとんと指で突いた。

 むっとなる気持ちが抑えきれず、エリカは思わず老婆の指を振り払った。

「私のこと、〝あんた〟って言わないで。私にはちゃんとエリカっていう名前があるの」

「エリカ!」


 老婆は叫んだ。



「エリカエリカエリカ! なんて名前! なんて面白いこと!」