エリカは口を閉ざした。
 この店にあるどの売り物も、趣味が悪くてとてもじゃないけれど買うことなんてできない、とエリカは思った。

 でも、「何も買いません」と返事をすれば、さらなる厳しい台詞が浴びせられるような気がして、エリカは必死にあたりの棚を見まわした。


 すると、ふとある金属製の箱が視界を捉えた。

 一見ごくごく普通のお菓子箱のような、何の変哲もない箱だ。

 棚の一番低くて暗い、目立たない場所にあるというのに、なぜかその箱にエリカの目は吸いつけられた。

 よく見ると、箱の側面に「Miniature Garden」とアルファベットで何か書かれていたが、まだ小学四年生のエリカには、それがどんな意味なのか、さっぱり分からなかった。

 エリカはたっとその箱の前まで駆け寄り、手に取った。ずっしりとした重みが両腕に伝わってくる。

(一体何が入っているの?)

 お菓子? キャンディーかしら?

 でもキャンディーならごろごろって音が鳴るはずよね――きっと、もっと何か素敵なものが詰まっているんだわ!

 エリカは無根拠にも確信した。老婆の方を振り向いて、

「おばあさん、私、これがいい!」