「何、それ。もしかして私が払わないんじゃないかって疑っているわけ?」
案の定、彼女の怒りは頂点に達したようで、甲高い声でわめいた。
刺激しないように、私は出来る限り冷静な口調で応対する。
「違う。君のことは信用している。当たり前だ。でも、」
「でも、何? だいたい、あの料金の基準って何なの? あなたはその超能力を生まれながら持っているだけじゃない。あなたの何が偉いわけ? ぼったくりよ。詐欺だわ」
その言葉で、とうとう私の堪忍袋の緒が切れた。
なぜ彼女の方が怒っているのかが分からない。本当に怒りたいのはこちらの方なのだから。本当に身勝手すぎる。
うるさい、この部屋から出ていけ、と叫ぼうとしたところで、思いとどまった。
私たちの関係を今日で終わらせてはどうだろうか、と。
彼女から、私の記憶を消してしまえばいいのだ、と。