耳に触れる吐息は熱い。含んだ空気が多い分、くすぐったさが皮膚を弄ぶ。

感覚の恥ずかしさに身をよじって逃げようとしたけど、結城さんは腰に回した手に力を入れて許してはくれなかった。


「いえ。……少し待って」

「……!」


囁き。髪に彼の指が絡む。大きな手が後頭部を抑える。

がんじがらめの状態で半分パニックの私に、容赦ない仕打ちは続いた。


「……っ!?」


耳朶をやんわりと食む唇は、突然の刺激に驚き跳ねた私を笑う。そして更に、一ミリも離れることなく、ささやかな刺激をちょっとだけ攻撃的にしてきた。

甘噛みされた耳朶。

背中がゾクゾクして、全身の肌が粟立った。


「……んっ」

「―――, ――――.」


結城さんはまた何かを耳に囁いた。今度は反対側の耳へ。

そして、同じ様に唇で耳を食み、少し刺激的に歯を立て甘噛み。


「んんっ……!」

「……花音さん?」


両耳にそんな事されたら、全くたまったもんじゃない。危うく膝から崩れ落ちるかと思った。


「大丈夫ですか? でも」


力が半分以上抜けてしまった私を、結城さんは支えながら笑う。


「予想以上に、イイ声で。ここ以外では出さないでくださいよ?」

「……出すわけ……っ! 結城さんが変な事するからじゃないですか!」

「嗚呼……残念」