結城さんが戻るまで藤本さんが男の子を見ててくれると言っていたけど、やっぱり自分も残っていれば良かった。
結局それはセツナちゃんに反対されてしまったけど。
(でもなあ……。一人だけさっさと帰るのも気が引けたんだよね)
こんな時間になっても結城さんは帰宅しないのだから、彼女の選択は決して間違っていなかった。
女の子が遅い時間に一人で帰るのは駄目、と歳上の人が注意するみたいにセツナちゃんは厳しい顔つきで言っていた。
零さんの件を若干引きずっている様にも見えた彼女の言葉。聞かないのも酷い話だ。だから私は大人しく、後の事をみんなに任せて帰ってきたのだ。
で、先述に戻り。
――任せたものの結果は気になる。
結城さんならそれを見届けるだろうからと、彼に詳細を聞くことにし、故に私はこうして結城さんの帰りを待ちわびている訳だ。
……中々帰って来ないから、すっかり待ちぼうけだけど。
「まさか……まだ会えてないとか?」
いい加減、あまりの遅さに痺れが……。想像はハッピーエンドから急降下をみせ、薄暗い舞台を覗き込む。
そんなことはない、零さんもいるのだから、と考えを修正させて。
(再会を祝してみんなで楽しく食事でも……なんて明るい方向になってればいいんだよね……。私一人蚊帳の外はちょっと切ないけど。いやいや、そんな事言っちゃ……)
むん、と切なさ隠して姿勢を改める。そこそこは存在ある胸を反らして。
――待ち望んだ気配を察したのは、その時だった。