(絶対に過去になんかあったんだろうな……)
三人を見て、私は思う。
とても打ち解けた間柄には見えないし。
(……となると)
ピリピリした緊張感をどうやり過ごすものか、どこまで自分が踏み込んでいいものか、これは中々難題だ……。
「別に迷惑かけてるつもりは無いんだけど。それに、オレの案内で行くかどうかはこのガキが決める事だろ? いくらセツナちゃんでもダメとかいう権利無いと思うなぁ」
「それは……」
「……」
言われた言葉に、セツナちゃんは口ごもった。何故か藤本さんまで何も返せず黙っている。
二人の表情は困るというより苦しそうで、男の子の顔はそれにつられ更に強張っていた。
「決めるのはオマエだよ。ここにいる誰も、オマエの決めた事に口を挟む権利は無いんだ。チビとはいえ男だろ? 自分のキモチくらいハッキリ主張しな」
零……さんは、眼鏡の奥の瞳を再び細くさせ男の子に笑った。穏やかな物言いだけど、この人の雰囲気はやっぱり子供には威圧感を与える。
(ついてこい、と言ってる様にしか聞こえないんだよね……)
ああ、もう見てられない!
「待ってください! 確かにこの子には決める権利があるかもしれないけど、とはいえまだこんなに小さな子供ですよ? 周りの大人達が最善策を考え、導いてあげなきゃ……」
「ん?」
我慢できず口を出してしまった私。セツナちゃんが「あ!」という顔をしたのを視界の隅っこで捉えた。