ナユタ君が明るい太陽だとすれば、セツナちゃんは静かな月の雰囲気。双子と言えど、持つ雰囲気や性格は真逆なんだろう。容姿はやっぱりとてもそっくりだけど……。
「好きな所に座って、花音。あと少ししたら持っていくから。良かったらスイーツも一緒にいかが?」
「うん! お願いしますっ」
中庭に行こうかな、と返事をしながら一瞬思った。見渡した店内には結城さんの姿が見えなかったから。もしかしたら中庭の席にいるかもと期待したのだ。
だけど、なんだろう?
思った瞬間、何となく「結城さんはいない」という気がしてならなかった。気配を感じないというか、何というか……よく分からないけど直感的な感じで。
(気配を感じないって……。どんだけ結城さんの姿追いかけてるんだ私)
というか、何が分かるっていうの? 結城さんレーダーがついてる訳じゃあるまいし。
こんなのまるで、必死みたいじゃないか。結城さんにどうしても会いたいって、心が逸ってる様……。
(私……焦ってるのかな? 思ってる以上に)
――だけど。
ナユタ君がいない事は簡単に聞けたのに、結城さんが今日来ていないのかどうか尋ねる事は、どうしても出来ないでいた。
だって言葉にしたら、自分のキモチが全部セツナちゃんに見えてしまうんじゃないかって……。
彼女の大人っぽい静かな雰囲気の前では、私の忙しない心なんてあっという間に露呈しそうな……?
そんな気がするのだ。
だから聞けない。聞き辛い。