なのに、この騒がしい心の中は落ち着かない。

……問題は別にあった。一日中引っかかってた罪悪感がせっかく払拭されたというのに、私のキモチは既に別のことで一杯になってるなんて――。


「花音さん……?」


ぽんぽん、と結城さんの手が私の頭を優しく、それこそ撫でる感じで軽く叩く。

でも、あくまでそれは「撫でる」とは別。

聞いているのかいないのか分からない相手に、アクションで反応を促してる……“そういうもの”なのだ。

――あの女性とは違う。

――扱いが違う。

それが、それが……。


(え……? あれ、何コレ。なんなんだろう)


自分の頬を伝う涙に私は自分で驚きながらも。

生温かいしずくで自覚していた。せざるを得なかった。

お腹の底から込み上げてくる不快感は、胸の中心で嫌な熱感を伴い私を内側から燃やそうとしている。

この感じ。私、知ってる。


(――嫉妬、だ……)