「花音ちゃん、大丈夫?」

「え? 何がですか?」

「……平気ならいいけど。昼間もそうだったけどさ……」


ピッ、とレジを鳴らし。田所さんは困った様に笑う。

レジに表示された金額をお財布から出す私に、彼は何かを言いかけた。


「いや……何でもない。帰り道気をつけなよ?」


優しい声音に救われた気がしたのは、田所さんが何を言おうとしたか分かっていたからだと思う。

気を遣わせてしまってるんだな。ちょっと反省。私はどうやら顔に色々出してしまう傾向があるようだ……気を付けないと。


「ありがとう、田所さん。じゃあまた」

「うん」


二度目のお別れ挨拶は、笑顔度数割増しで。田所さんも二カッと白い歯を見せ笑った。


「また月曜。バイト先でねー」

「……」


彼と大学でバッタリ会うのは、一体いつになるのだろうか……。