夜のコンビニは意外に人が多い。週末だから余計なのかも。私がレジに並ぼうとした時には、すでに数人が並んでいた。
田所さんがすぐにもう一台のレジを開けて対応する。男性三人組の後について、私は彼のいるレジの列に並んだ。
「お前、どんだけ食うの? 買い過ぎだろ」
「マジウケる!」
「っせーな。しょうがないだろ、俺成長期なんだから」
「誰が成長期だって?」
「だからそんな肥えんだよ。モテねーわけだ」
一人が肉まんやおでんを注文し、お会計には少し時間がかかる模様。
カゴの中にもお菓子やビールなどが沢山。この三人組はこれから誰かの家で飲み明かすみたい。
三人の会話がコントみたいで、私は後ろから見ながら笑いをそっとこらえていた。
「なあ、そういえば」
ピッ、ピッ、とレジの音が鳴る間。急に思い出した様に一人の男性が言い出した。
「お前見た? 朝のバス事故。ほら、美咲が丘の」
「ああ、アレ? 先輩から聞いたけど見てはねーよ。スゴかったらしいじゃん」
「ナニ、見たの?」
「いや、オレも実際は見てないけど。いつも使う路線だから、ちょっとビビってさ」
「マジで? 時間ずれてたらヤバかったな」
うんうん、と頷いた言い出しっぺの男性は「だよな」と苦笑する。けれども、すぐに表情を明るくさせて言った。
私は彼らの会話に持っていたカゴをギュッと握った。
「危うく飲み会参加出来なくなる所だったぜ」
「そこかよ!」
「命の危機より酒の心配とか、ウケんですけどー」
軽く言いながら、彼らは三つのビニール袋を分担して持ち店を出ていく。
男性たちが居なくなると店内も静かになり、BGMがはっきり聞こえる様になった。