……この笑顔の目力はいただけない。避けられない雰囲気を醸し出し過ぎる。

いいから食え、と言われてる気分になる。


「……じゃ、じゃあ、遠慮なく……」


それで結局、甘酸っぱさとクリームの甘味を口内に迎え入れて咀嚼。

結城さんが満足げに頷いた。


「いかがです?」

「………」


(いかがです? って……。そんな見られても困る)


どんな返答を期待してるんだ。結城さん。

なんだか噛むごとに恥ずかしくなってきて、自分の頬が熱くなるのを感じた。


「えっと……。おいしい……です」


とある想像をしつつの返答だった。なんというか、結城さんの考えている事が分かりそうな……そんな感じで。

いつもはいくら考えても読めないというのに。


「こういうやり取り、恋人同士の定番ですよね」


フフッと結城さんが笑う。ああー……。ホラね、やっぱり! 絶対来ると思ったこのくだり!

今までの一連の流れで、結城さんがそっちの方向に話を持っていくのでは? と読んでいたけど、それはまさに大当たりだった。

もしかしたら、私ってば大分結城さんの傾向掴んできたかもしれない。

慣れとは素晴らしきかな。もう少しスキルを磨けば、彼に振り回される事もないのだ、きっと!

私は、これ以上結城さんのペースにならないように自信を持って相手の発言を否定にかかる。


「別に恋人同士じゃなくてもやります。親子とか」

「私を父親にしたいんですか?」

「なっ! んな訳ないじゃないですか!」


が、あっさり反撃? された。

私のささやかな自信は、たった一言で早くも崩されかけて……。


「ですよねぇ。親子じゃ恋愛出来ませんし」

「だからっ、恋愛とか恋人とか……そういうんじゃな…!」

「では、何でしょう?」

「えっ!?」