男の子……まさかコスプレした男の子とは……!

女の子と疑わなかった自分。何か、色々な意味で負かされた気がする。

ああー。居るんだな……女の子より可愛い男の子って。

みじめな気分にはならなかったけど、何となく恥ずかしい気分になってしまった。

私、なんでこんな中途半端な感じなんだろう……。日頃の女子力の低さがバレちゃうんじゃないかな。


(ああ、でもなあ)


お人形さんみたいなナユタ君を見ながら、私の心はソワソワしだしていた。この際私の事なんてどうでもいいのだ。

それよりなにより、今は彼のこの可愛さを追求でしょう?


(可愛いものはカワイイんだもの。仕方ないよね)


雑貨屋で胸キュンの逸品を見つけた時のキモチに似てる。出会うべくして出会ったのよ! って嬉しくなっちゃう時の。

まさか、こんな場所でそれを味わうとは思わなかったけど。


私と目が合ったナユタ君は、ニッコリと人懐っこい笑顔を向けてくれた。

ぴょんぴょん跳ねて「全身で喜びを表してます!」と行動で示してくるのが、気絶しそうにキュートだ。

何なのこの子! 可愛過ぎるんですけどっ!


「花音さん、やっと来てくれた! お話はいつも聞いてますっ」

「へ?  はなし?」

「ずーっと、ずっとずっと探してた理想の存在をついに見つけたぁ! って言ってました!」

「えっ!?」

「だからボクも気になってたんです。花音さんのこと!」


キラキラと瞳を輝かせるナユタ君。緑色と琥珀色が私を真っ直ぐ見上げてくる。


「……?」


そう。例えるならペリドットとアンバー。二つの宝石の輝きに、私は足元からそこに吸い込まれていく様な不思議な感覚に陥った。

純粋な瞳の目力は凄いと思う。一瞬、身動きが取れなくなるほど惹きつけられるとは……。


「……こらこら。やめなさい」


はぁっ、と溜息を吐き、結城さんが私とナユタ君の間に立った。

そして、


「勝手に暴露しないでくれますか? 面白みが減ってしまう」


不満げに問題発言を。

「面白みって何が!?」と、すかさずツッコミを入れてしまった。