「なので私も思わず買っちゃいました。人気とか限定って言葉に弱いんです」
「あ。わかるかも。ついつい手が出ちゃうキーワードですよね」
「そうなんですよ~! 本当そういうの喰い付いちゃうっていうか……。あっ、すいません。お買い物のお邪魔しちゃって。ゆっくり見ていってくださいね!」
無理に商品を薦めない感じのいい接客で、彼女は場を離れて行った。
ひとりになった所で、私は三日月をゆっくりと眺める。
(やっぱり色合いが可愛いなぁ……。キラキラが主張し過ぎてないのも良いし)
とても人気という割にお店の奥にひっそり並べられているのが、不思議な感じだ。もしかしたら、在庫も少なく入荷も未定な商品だからなのだろうか?
お店の入り口付近には、確かに新商品が多く並べられている。売り切りの商品が多いと言っていたし、ものの入れ替わりも激しいのかも。
そう考えると、この出会いをスルーするのが惜しい気もしてきた。――私は雑貨に関してだけは、衝動買いを運命買いだと思っているので……。
「よしっ。決ーめたっ!」
三日月と星を手に、私はすぐにレジへ向かった。
「セツナちゃん達、喜んでくれるかな……?」
二人の笑顔を想像しながら。
――後で思えば、この二つはその後の予定を決める為の道しるべだったのかもしれない……。