実際そう言われたんだろ? ちゃんと教えてくれるって。

優しい口調で言われ、私はまた素直に頷いた。

こうして他の人に話し、聞いてもらい、整理する事で、心は落ち着きを取り戻せる。

待てばいい。待つだけ。それしかない。

でも、やっぱり不安で。不安からどうしようもない事を繰り返し考えてもしょうがない。

分かってはいてもどうしても……。それが自分の悪い癖だって、それも知ってるのに。

――思考癖って簡単に治せるものじゃないんだなぁ……。


「どーんと構えてなよ。大丈夫だから!」

「……はい」

「なにせ花音ちゃんは彼女なんだしっ。あ! もしかして彼氏……結婚とか将来の事まで考えてるのかもよ?」

「え!? 結婚っ!? まさか!」


幾らなんでもそれは話が飛躍しちゃってる!


「いいなぁ。将来が明るいってのは~。結婚式には呼んでくれよ? 俺、余興のダンス張り切るから」

「ダ、ダンス? もう田所さん……やめてくださいってば。余計な想像とかしちゃうから。想像が勘違いで終わるのは恥ずかしいだけです……」

「はははっ! 冗談冗談!」


明るく笑い飛ばしてくれたおかげで、私の悩みもやっと笑えるまでに。

田所さんに聞いてもらって良かった!

私は彼に、ありがとうございますとお礼をした。


「田所さん、自分の恋愛は全くの不器用なのに、相談に乗るのは上手なんですねっ」

「あれ? 俺……褒められてるんだよね?一応」

「はいっ、一応!」

「そこはやっぱ一応なんだ!?」


私達は笑いを堪えてお互い肩を揺らす。

自分の事は見えづらいけど、人の事は良く見える。恋愛もまた然り……のようだ。

私は妙に納得しながら、オススメのデザートパンにやっと手を伸ばした。