「………」

「……田所、さん?」


沈黙。

何も言ってくれない相談相手に、私は不安になってくる。

変な事でも言ってしまっただろうか?それとも、こんな事相談されても困るだけなのか?

短い時間の中で色々浮かんでくる考え。

だから、田所さんが大きく頷いて「なんとなくわかった」と言葉を発した時はホッとした。


「それってさ、俺とはまた違うんじゃないかな?」

「そうなんですか……?」

「うん。自分の事考えてっていうより、むしろ花音ちゃんを思っての話だと思う」

「わたしを……」

「そ。聞けば、彼氏は仕事出来るエリートって感じだし。今抱えてる仕事、片が付いてから改めて話そうと思ってるんじゃない?」

「そっか……。でも私どうしても、私には話せない、イコールまだ信用されてないのかな……とかつい考えちゃって」


あの時は、自分も彼のいう事に納得したつもりだったのだけど……。

スッキリ晴れずにモヤモヤが残った心は曇る一方だったのだ。


「仕事柄によっちゃ、外部には話せない事もあるだろ?それかもしんないじゃん。花音ちゃん心配性だし、彼氏もそういうのちゃんと分かってるんじゃないかな? 中途半端に話して変な心配とか誤解されるより、きちんと時期をみて話すつもりなんだよ」