その気持ちは分かる気がする。誰だって好きな人の前では、少しでも自分を良く見せたいもの。
「女の子にもそういうのありますけど、男の人も同じって事か~」
そう呟きながら、私はふと思った。
グラスに伸びかけた手を思わず止めて、
「例えば、それに似た様な気持ちって、何でも出来そうな人でも持つと思います!?」
ちょっと食い気味に聞いてしまった。
えっ?と田所さんが目を丸くする。
「どうしたの急に」
「あ……いや、まぁちょっと気になったもんですから……」
「そうなの?……――あぁ!もしかして花音ちゃんの彼氏の事?」
珍しく察しの良い田所さんにズバリ言われてしまい、私は素直に頷いた。
そして、結城さんとの話を、なるべく簡潔に、でも間違いや誤解のない様に注意して説明した。
「……という訳でして」
「そっかぁー」
真面目に聞いてくれた田所さんは、最後はうんうんと頷いている。
そこでやっと私はグラスを取った。一気に喋り過ぎたか、あまりしない恋愛相談なんかしてみたからか、喉がカラカラに乾いていたのだ。