「それにしても、こんなマイナーな場所良く知ってたね花音ちゃん。ここらでは知られてるけど、大学の連中にまでは知られてないと思ってた」

「私は知りませんでしたよ?ここは朋絵から教えて貰って……」

「えっ?」

「え?」


コーヒーを飲む手を止めて、田所さんが驚き顔で私を見る。

その顔に私も驚いた。


「朋絵っち、ココ知ってんの!?」

「朋絵、田所さんから聞いたんじゃないんですか?」


二人で声が重なる。隣に座っておひとり様ランチをしていた女性が、文庫本から顔を上げ私達を見た。……ちょっと迷惑そうに。

その気配が十分に伝わってきたので、私と田所さんは次はコソコソ話しを続けた。