オープンカフェで優雅に紅茶とか飲んでる姿を想像して。

ど、努力……! サボっていてもそう見せない工夫とかだろうかっ!?

またまた変な方向に進む私。


「勿論、休暇だってキチンと取ります。スケジュール管理もままならず、仕事に追われ休めないなんて、無能な者のする事ですからね」


世の忙しいオトウサン達が聞いたら泣いてしまう様な事を、結城さんは爽やかな笑顔で言いのけた。なかなかに辛辣だ。

だけど、そう言えちゃうって事は結城さんがズルして仕事をサボる人ではないと証明してる様なもの。

なんか聞いてちょっとホッとした。


「休日返上で働くのが美徳みたいな企業には、キビシイ意見ですね。きっと」

「この国の人達は働き過ぎなんですよ」

「いいなぁ。それ、うちの店長にも言って欲しい~。バイトの人数少ないからシフト作るの大変なんだもん! せめてあと二人か三人は増やして貰いたいんですっ。その点、労働環境的にも結城さんのお勤めする会社は理解ありそうな感じですよね」


話している流れで、私は、はたと気付いた。

……あ? そういえば。


「結城さんって、どんなお仕事してるんですか?」


以前から気にはなっていたものの、ずっと機を逃していた質問だった。


「仕事……ですか」

「はい! 営業? それともSEとか? いつもスーツで颯爽と歩いてるから、気になってて……」


と、見上げた結城さんの顔。

次の瞬間、私の胸にざわっと嫌な感覚が通り過ぎていく。


「結城さ……ん?」

「………」


私の質問に、彼は明らかに表情を曇らせた。

まさかこんな何気ない言葉で、場が凍りつくとは思いもしなかった瞬間だった。