(眠れなかった……)


睡眠不足の目を擦りながら、私は玄関で身支度の最終チェック。

姿見を覗くと、朝から妙に疲れ顔の自分がこちらを見ていた。

うっすら残る隈(くま)は、あらゆる方法を駆使して大分薄くなったけど、この疲れた顔はこれからアルバイトに向かう女子大生の朝とは思えない程酷い感じで……。


(困る。本当に困るっ!)


寝不足がたたっての疲労度増が一番身体にはキツイし、何よりお肌に良くない。

おでこにポツリと出現してしまった吹き出物を再度確認した私は、小さく溜息をついた。

……いや。これもそうなんだけど、特化して肌荒れに困ってるって訳じゃないんだよね……。

そう。実の所、困ってる原因の大半は、お気に入りのリップグロスを塗った自分の唇だったりする。

もともと化粧っ気なんかないからメイクは必要最低限なんだけど、しかし、だからこそ唯一こだわる(?)このリップグロスこそが、今日はやたら強調を主張してるみたいで。

寝不足で酷い顔なのに、唇だけは血色良く艶感アリって……どうなのよ?


(塗らなきゃ、本当に見るに堪えない感じだったからつけたものの……)


ただでさえ、昨日の夜から“あの出来事”を思い出しちゃってしょうがないっていうのに、こんな自分で自分を追い込んでどうすんだ……私ってば。