「じゃ、初来店一件目~」
朋絵の声とウィンドウチャイムの音に、一瞬の考え事から我に返った。
見ればもうそこに朋絵の姿は無くって。
ゆっくり閉まったドアが、ちょうどパタンと音を立てたところだった。
「もう! 朋絵ってば! マイペース過ぎっ」
さすが好奇心旺盛少女。彼女の行動力に溜息が出るのは、本日二度目だ。
やれやれと肩を落とし、ふと目に入った出窓へ視線を向ける。
出窓も飾り棚として利用しているらしい。
可愛らしいガラス細工がとてもセンス良く飾られていた。窓辺に吊り下げられたガーランドも、ガラス細工が光に反射してキラキラ輝いている。
窓越しに目が合った朋絵も「見て見て!」とガラス細工のガーランドを指さしご満悦顔だ。
うんうん、と頷きながらも、だけど私は店に入る気にはなれなかった。
それよりなにより、目の前の謎が気になって仕方ないんだもの。