「小っちゃい頃からほわわーんとしてたんでしょ。物静かでさ」

「確かに活発ではなかったけど……。途中で、なんか諦めちゃった部分が多かったからかなぁ」

「え? 何を?」

「……色々ね」


肩を竦めて笑えば、朋絵はそれ以上聞いてはこなかった。「色々か」と笑って流してくれる。質問好きな彼女だけど、こうして相手の気持ちを悟って必要以上に踏み込む様な事は絶対しない。

朋絵は、そういう子。とても優しい人なのだ。


「そういえば、朋絵。田所さんの忠告を無視して会ったイケメンさんはどうだったの?」

「良いイケメンさんでしたー」


話題は朋絵へ。

持っていたピンクのバッグをギュッと抱きしめて、夢心地の表情の友人がしみじみと言った。


「すっごい爽やかで笑顔が超素敵だったよー。あの人が悪く見えるなんて、田所さん、目どっか壊れてんじゃないの?」

「ははは。壊れてるって」

「同じ男としての嫉妬心かね? あの外見と張り合おうなんて、田所さんも図々しいったら」

「それ、言っちゃだめだよ? 田所さん泣くから」


すっごい気の毒な田所さん……。まさか、好きな女の子にここまで言われてるなんて思いもよらないだろうな。

朋絵も、まさか田所さんに好意を寄せられてるとは思ってないので、ここぞとばかりに今日の出逢いをベタ褒めしている。