「花音! 花音なら分かってくれるよね? 私のこのキモチ! 新たな出会いに飢えている私に、今千載一遇のチャンスが巡ってきたのっ!」

「花音ちゃん! なんて言っても、俺らは今はバイトの時間だっ。現在時点での己の持ち場を大切にするべきだよなっ? なっ?」

「……。いや、二人の気持ちはもっともだけど……」


答えに困る。ていうか、なんでこんな事でここまで揉めてるんだろうか? この二人……。


(朋絵には行ってほしくないならそう言えばいいのに……)


今まで全然気付かなかったけど、この慌てようと必死さを目の当たりにしたら、何となく勘も働くってもの。


(田所さんってば、もしかして朋絵の事を……?)


チラリと田所さんを見上げたら、ギクッとあからさまに肩を揺らして動揺している。


(あ。目が泳いだ……)


ただね、田所さん。残念な事に。

乙女妄想モード中の朋絵は、いつもより三割増し位で行動力がアップする。それを考慮すると、田所さんの現状はちょっと不利だろう……。と、思うんですよ。

――しょうがない。ここは私が協力してあげるか。