「あ。ごめんごめん」
朋絵もようやく周りが見えたらしい。私たち以外に人がいないのを確認した後、本を整理する作業の“フリ”をしつつ、私との距離を更に縮めてきた。そして小声で、
「でもさ、花音。やっぱり結城さんは、愛する彼女をとことん愛しちゃう……愛し過ぎちゃうタイプなのよ! じゃなかったら、キスの最中に……」
「……」
朋絵はごにょごにょと言葉を濁した。独り言を言いながら赤面してる。
そんな朋絵につられて私も顔が熱くなってきてしまった。
ついつい舞い上がり過ぎて、正直に全部話しちゃったのは失敗だったかな?
いつもの事ながら、好奇心の塊みたいな朋絵のペースに巻き込まれちゃったんだよね。
――下唇を指で触れて、私はまた一人で赤面。
『それってお仕置きみたいじゃん』
最初に話した時の朋絵のストレートな感想が頭によみがえる。
頭の中で乙女モード全開の妄想をするのが趣味な朋絵の感想とはいえ、実はどこか否定しきれない感が……というのもあったりして。それで私自身もちょっと戸惑っていたり。